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丹野まさよしとがんばり隊

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京都府向日市歴史的風致維持向上計画「歴まち計画

        「向日市歴史的風致維持向上計画」の取組について」

1) 京都府向日市の概要
向日市は、市域が東西約2㎞、南北約4㎞であり、市の面積は7.72平方㎞と全国でも3番目に小さなコンパクトな市である。京都市まで約7分、大阪市まで約35分と公共交通の利便性に恵まれており、微増ながら年々人口も増えている。現在の人口は56,952人。大都市近郊の通勤型住宅都市として発展してきた。一方、人口の転入出が多いベットタウンとして性格が強いため、市民のまちに対する誇りや愛着が育ちにくく、地域コミュニティが希薄化しがちだという問題を抱えている。

2) 向日市歴史的風致維持計画(歴まち計画)
そういった中で、市民との協働で郷土愛を育む観光振興策に取り組むことを目的に、向日市は「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成20年法律第40号。以下『歴史まちづくり法』という。)」に基づき「向日市歴史的風致維持向上計画」を策定し、平成27年度から歴史・文化を生かしたまちづくりに取り組んでいる。
  計画では、向日市の維持向上すべき歴史的風致として、次の6つの視点からテーマを設け市民と協働で歴史的文化遺産の保護と活用の施策に取り組んでいる。計画期間は平成36年までの10カ年。
(1) 市の名前の由来ともなっている重要文化財「向日神社」に係る歴史的風致(神社と各種祭礼)
(2) 史跡長岡宮後に係る歴史的風致(史跡長岡宮跡と大極殿祭)
(3) 古代街道に係る歴史的風致(説法石題目踊り)
(4) 用水・ため池と条里制水田に係る歴史的風致
(5) 竹林と筍栽培に係る歴史的風致
(6) 鉄道と住宅開発に係る歴史的風致

また、具体的な施策や行事を展開するに当たり、歴史的風致維持向上に関する基本方針を次のように定め、具体的な支援策を実施している。
1) 歴史文化に関する情報発信や情報提供に努めて、「向日市」の認知度を高める。(情報案内板、観光マップの充実AR長岡京などのアプリによる情報提供等)
2) 地域の伝統文化の保存・継承、後継者の育成に努める。(保存や伝承活動への支援)
3) 歴史文化資源を維持保存するとともに、活用する。(長岡京跡を中心とした環境整備事業)
4) 美しい景観の保全と修景に努める。(竹の道の整備、水田、ため池、桜並木の景観の保全、散策路の整備)
5) 「大極殿のあるまち 向日市」にふさわしい地域・観光振興の推進(回遊性の向上を図る整備の推進、歴史・文化資源のPR、それぞれのスポットを繋ぐ情報案内板の設置)
さらに、向日市固有の歴史まちづくりをエリアごとに推進するために、重点区域に23事業もの整備事業や活用事業を進めている。

考 察:向日市と名取市は歴史的背景や地理的条件が全く異なっているが、非常に似通ったまちだなという印象を受けた。名取市にも東北最大の雷神山古墳をはじめとする古墳群を持っているし、山手丘陵部には四季折々の美しい自然と名取熊野三社、高館城跡、など歴史的文化遺産にも恵まれている。さらに、孟宗竹の北限といわれている愛島地区などの丘陵部はタケノコの産地である。 大都市近郊の通勤型住宅都市として発展してきた過程や交通の利便性に恵まれ、人口が増えている点も似ている。しかし、向日市はそれらの地域資源を最大限に活用し、見事にまちづくりを展開している。例えば、タケノコは竹林を山林ではなく、畑として位置付けている。毎年、竹林の土の入れ替えを行い、肥料を与えられ栽培されたタケノコは「白子」と呼ばれ最高級品として京都の割烹等で高価で引き取られている。また、向日市内を縦断する西国街道は、古くから人や物資の往来が活発であり、現在も住民によって伝統的な踊りや花祭りが営まれ、往時の雰囲気を醸し出している。
向日市が取り組んだ「歴史まちづくり法」を活用した歴史的風致維持向上計画を策定事業は、地域におけるその固有の歴史や伝統を反映した人々の営みや活動に焦点をあてた新たなまちづくりの方法として、大変有効な取り組みだと感じた。名取市でも全庁的課題として導入を検討すべきである。



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